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カナダは大学生や社会人の留学先として人気のイメージがありますが、教育水準が高いことから小学生、中学生、高校生年代の留学先としてもおすすめできます。しかし、カナダの教育制度はそれぞれの州の教育省が取り決めているため、日本の義務教育とは違い情報が多くなりがちです。それにより、頭を抱えてしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、カナダの教育制度の特徴を日本のものと比較して紹介します。また、教育方針や留学の注意点についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
カナダの義務教育の内容は、各州の教育省によって取り決められています。そのため、州ごとに学年の区分けや新成人への年齢も異なります。ここからは、カナダの教育制度について特徴的なものを4つ紹介します。
カナダは州ごとに教育制度が独自に定められています。各州に置かれた教育省は教育政策を独自に設定し、教科やカリキュラムの内容、評価方法などを決めています。これにより、カナダの教育制度は地域ごとに異なる特色を持っています。
州 |
教育方針 |
評価方法 |
ブリティッシュコロンビア(BC)州 |
芸術やスポーツなどの活動にも注力 |
個別の総合評価 |
アルバータ州 |
アカデミック科目の学習に注力 |
グレードポイント平均(GPA) |
たとえば、ブリティッシュコロンビア州では、総合的な教育カリキュラムが重視されており、文科系科目だけでなく芸術やスポーツなどの活動にも力を入れています。一方、アルバータ州では、アカデミックな科目に重点が置かれ、実用的な技術や専門的なトレーニングが提供されます。また、ブリティッシュコロンビア州では個別の総合評価が行われるのに対し、アルバータ州では数値のグレードポイント平均(GPA)が使われるなど、評価方法も異なります。
カナダの学校では、学年の区分けが他の国とは異なります。一般的な区分けは、キンダーガーデン(幼稚園)から始まり高校で終わるグレード1から12までです。ただし、州や学校によって学年の区分けの名称や年齢に若干の違いがあります。
留学生の場合は、自身の年齢や学力に基づいて、カナダの学年に合わせて学年が配置されます。
参考・画像引用:国立教育政策研究所「カナダの義務教育年限延長政策」
カナダでは、幼稚園から高校卒業までの教育が公的に義務付けられているため、多くの州で高校生までの授業料は無料です。中でもケベック州に関しては、高校卒業以上の年齢(20歳)まで義務教育の対象としています。
一方で日本では、高校入学(15歳)と同時に私立高校ではなく公立高校でも授業料が必要になります。そのため、これはカナダの教育制度の大きな特徴であり、子供たちに均等な教育の機会を提供することを重視している根拠であると言えます。ただし、大学やカレッジなどの高等教育は有料です。
カナダは英語とフランス語の2つの公用語を持っています。英語圏の地域とフランス語圏の地域があり、それぞれの地域では該当する言語が主に使用されます。例えば、オンタリオ州やブリティッシュコロンビア州などは英語圏であり、ケベック州はフランス語圏です。全国的には英語がより広く使用されていますが、フランス語圏の州では2言語が授業の中で使われています。
カナダでは、義務教育期間中の学校の仕組みが日本のそれとは大きく異なります。ここからは、新学期の時期、高校受験の制度、ランチタイム、制服の4つの違いについて詳しく解説していきます。
カナダでは、新学期の始まりの時期が日本とは異なります。一般的に、カナダの学校の新学期は9月からです。夏休みの後、学生たちは9月初めには学校生活に戻って新しいクラスの発表や教師との出会いを迎えます。この時期は、教育機関や学区ごとに微妙な違いがありますが、9月を新たな学年のスタートと位置付けているのがカナダ国内共通の特徴です。
カナダでは、一部の私立学校を除いて高校進学のための入学試験が行われません。代わりに、学生の学力や興味に基づいてコースやクラスが選択できるようになります。日本では、中学校から高校に進学するとき、成績や筆記試験を中心として高校受験をします。一方でカナダでは、生徒へのヒヤリングや成績などを総合的に判断したうえで、生徒の希望する高校へ進学することができます。生徒の一人一人のニーズや能力に応じた教育の柔軟性が、最大の特徴です。
カナダの学校では、生徒自身が持参してきたランチをとるのが一般的です。日本では、ランチタイムに学校給食をクラスメイトと食べるため、スタイルが全く異なります。カナダのランチタイムは、自分の持ちよった好きな物を食べたり、好きな友達と交流したりする時間が大切であると考えられています。
また、一部の学校ではカフェテリアが用意されていて、生徒たちは食事を購入することもできるため、家庭の負担も抑えることができます。ただし、一部の学校では給食サービスが提供される場合もあります。しかし、全国的な給食文化は日本ほど一般的ではありません。
一般的にカナダの学校では、日本のように学校ごと、地域ごとの制服を着て登校するという文化がありません。代わりに、生徒は自由な服装を選ぶことができます。確かに、学校では生徒に対して清潔で適切な服装を求めますが、特定の制服や厳格なドレスコードは存在しません。この自由な服装のポリシーによって、生徒はおしゃれや洋服への興味関心が沸いてくるとも考えられます。
カナダは世界的にみても留学生に大人気の留学先です。その人気の理由は、カナダの教育方針が一つの要因であると言えます。ここからは、カナダの教育方針の特徴に焦点を当て、留学生にとって魅力的な要素を紹介します。
カナダでは、将来のキャリアや職業選択に役立つ科目を幅広く提供しています。例えば、カナダの中学・高校にはビジネス、コンピューターサイエンス、芸術、デザインなどの様々な分野の選択科目があります。日本の義務教育と比べると学びの幅が広いため、カナダへの留学生は自身の興味や将来の目標に合わせて、多様な科目を選択できます。「より深く学びたい!」と思った分野は大学や専門学校に進学して知識をさらに深めることもできます。自己成長や専門知識の獲得にもつながるでしょう。
ボランティア活動がカリキュラムに含まれている
カナダの学校では、ボランティア活動が積極的に取り入れられています。例えば、学校周辺のごみ拾いをしたり、募金を呼び掛けたりといった活動を行います。生徒は地域や社会への貢献を通じて社会的な意識を高められるだけではなく、将来の目標や目的を見出すことが可能です。留学生も、新たな文化やコミュニティに触れながら、他者に尽くす喜びや共感の大切さを学ぶことができます。
カナダの学校では、いじめについて考える授業が導入されています。生徒たちは「いじめとは深刻な問題である」という意識を抱き、互いを尊重する文化を育てます。移民や難民の受け入れが寛容な多民族国家カナダだからこその教育方針であると言えます。留学生もこのような授業を通じて、多様なバックグラウンドを持つ生徒たちとのコミュニケーションや共存の大切さを理解することができるでしょう。また、カナダのいじめの授業で学んだことは、留学から帰国しても引き続き忘れがたい経験や知識になるはずです。
カナダは留学先として人気が高い国です。一方で、州ごとに教育方針が少しずつ異なる点や未成年の定義が異なる点に注意が必要です。ここからは、カナダに留学するときの注意点とその解決策について紹介していきます。
カナダは広大な国であり、連邦国家であるために州ごとに留学費用や教育方針が異なることに注意が必要です。一般的に、バンクーバーやトロントのような大都市や人気のあるエリアは生活費が高くなる傾向があります。以下の表は、カナダに1年間留学した場合の州ごとの留学費用の相場です。
州名 | 留学費用(日本円) |
ブリティッシュコロンビア州 | 200万円~240万円程度 |
アルバータ州 | 180万円~200万円程度 |
マニトバ州 | 170万円程度 |
オンタリオ州 | 200万円~250万円程度 |
ノバスコシア州 | 150万円程度 |
また、各州や学区によって教育方針やカリキュラムが異なるため、自身の学びたい分野や目標に合ったエリアを選ぶことが重要です。
未成年者がカナダに留学する場合、後見人の誓約書が必要です。後見人とは、留学期間中に留学生の安全や生活をサポートする役割を担う成人のことです。例えば、ホームステイをする場合はホストファミリーの方、留学先の教育委員会の方、カナダに親族がいる場合はその方を後見人とする場合が一般的です。留学計画を進める際には、後見人の選定と手続きについて確認する必要があります。なお、未成年の定義は州ごとに若干異なります。基本的には「18歳未満」を未成年としていますが、「19歳未満」を未成年としているブリティッシュコロンビア州などのような州も多いです。留学エージェントへのお問い合わせや自力によって、これらの情報を事前に集めておく必要があります。
未成年者が留学する場合、渡航同意書と出生証明書の準備が必要です。渡航同意書は、未成年がカナダに渡航する際に、両親の同意があることを照明する文書です。また、出生証明書は留学生の身元確認のために必要な書類です。これらの書類は正確かつ適切に準備して、留学までの期間に必要な手続きを迅速に行わなければいけません。詳細な要件については、カナダの留学エージェントや関連する公的機関に相談することをおすすめします。
カナダは教育水準が高いことから小学生、中学生、高校生年代の留学先としてもおすすめできます。また、カナダの教育制度はそれぞれの州の教育省が独自に取り決めているため、留学費用や教育方針にばらつきが出来てしまうのも事実です。
今回は、カナダの教育制度の特徴についてカナダ国内で普遍的な要因を中心に解説してきました。満足度の高いカナダ留学にするためには、「どの州の学校に行くか?」「その州の教育方針は生徒や保護者の目指しているものと近いのか?」を吟味する必要があります。
必要な情報を効率よく集めたい方やカナダの専門知識を持っている人からアドバイスを受けたいという方は、ぜひ留学エージェントIAJPの無料相談を利用してみてください。LINEやメール、電話で気軽に相談することができます!皆様からのご連絡お待ちしております!
野澤治子
NPO留学協会認定資格(NO62057)カナダ専門留学アドバイザー。
カナダ(トロント、バンクーバー)で4年滞在。
バンクーバで留学カウンセラーとして年間900人以上の留学生をサポートしてきました。
自分が留学した際に経験して感じたことや失敗談をなど自分のカナダでの留学経験を活かし「最初の1歩を踏み出す後押しができる」そんな「留学アドバイザー」でいれたらと思います。 特にカナダワーキングホリデーの中でも私は「ギリホリ」を経験者なので「キャリアアップ」につなげたい社会人の方応援します! また2人の子供がいるので私の経験を活かしお子様の英語教育から高校留学など少しでも英語や留学を身近に感じていただけるお手伝いをさせていただきます。気軽に相談下さい。